のばらのアリア

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刑事の墓場/首藤瓜於

刑事の墓場


脳男で江戸川乱歩賞を受賞された首藤瓜於氏。
久々の新作で嬉しいー(^o^)

エリート街道を歩んでいたはずが“刑事の墓場”と呼ばれる動坂署へ転勤となった雨森。
そこにいるのは辞めさせたいけどそれもできない訳ありの問題刑事ばかり。
自分がここに転勤させられたのは何かの間違いにちがいない!
妙な刑事たちを横目に、ふてくされる雨森のもとにもたらされるのは痴話喧嘩。
事件のほとんどない動坂署ですが、この痴話喧嘩は思わぬ方向に転がって。。。

「脳男」とはまったく違うタイプの警察小説です。
お遊びがちりばめられていて、全編におかしさが漂っています。
刑事たちの名前にしても、雨森・猪俣・鹿内・蝶堂・桜葉と、花札を思わせますし。
深刻なものを読みたくないときにはぴったりですね。楽しめます。
動坂署の刑事たちがもつ秘密が最後にあかされますが、これが良いですね。
この作品にふさわしいお遊びです。仲間になりたいくらいw
その後も読んでみたいですが、首藤氏には脳男2を希望ですー。

さて、ワタクシこのたび引越しすることになりました。
そのため、しばらくネットに繋げない生活になってしまうのです。
みんな!淋しいだろうけど(笑)待っててね!
では、しばしのお別れ~。

嫁盗み 重蔵始末4/逢坂剛

嫁盗み

逢坂剛氏が初の時代小説に挑戦!と話題を呼んだ「重蔵始末」もシリーズ4冊目となりました。
主人公・近藤重蔵は幕末近くに10年間も北方を探検調査したことで知られる実在の人物。
身分はそれほど高くないですが、幼少の頃より神童と呼ばれ博覧強記・機略縦横の人。
六尺近い大男で酒も力も強いし、傲慢で誰にでも好かれるって人ではありません。
年はまだ24歳。とてもそうは思えないのです(^^;)
シリーズ当初より火盗改め方で活躍してきた重蔵ですが、長崎奉行に任ぜられた
上司・中川勘三郎について長崎に行く事になりました。
江戸から長崎へ。舞台が大きく変わります。
期待を膨らませて読み始めましたが、うーん。
なんとなく物足りなさを感じます。新しい登場人物や抜け荷にかかわる薩摩藩など
面白くなりそうな感じはあるのですが、寸止めみたいな。
あと、重蔵の内面描写を一切しないのが特徴でもあるこのシリーズ。
同じ方法をとった禿鷹の夜では、それは成功をおさめていると思うのですが
連作短編である「重蔵」ではどうかな?という気もしました。
読んでいて、もう少し重蔵に感情移入できればと思ったりするからです。
重蔵が死ぬまでを描くと逢坂剛爺はおっしゃっているので、まだまだこれから。
先を楽しみにしています。

装画・挿絵をされているのは池波正太郎先生の作品でもおなじみ、中一弥氏。
時代の雰囲気を感じさせ、物語にぴったりな素敵な絵です。
中一弥氏は逢坂剛氏のお父さん。
親子で本をつくれるなんて、幸せなことですよね!
中氏には長生きしていただいて、最後まで重蔵を描いていただきたいです。


凍りのくじら/辻村深月

凍りのくじら

有名カメラマンであった父は5年前に失踪。母は癌で余命わずかと宣告されている。
もうすぐ失ってしまうであろう“家族”
内心の葛藤を隠し、明るくふるまう芦沢理帆子ですが、どこにいても自分の居場所を
見つけられない気がしています。友達と遊んでいてもどこか覚めているのです。
そんなある日、学校の図書室で別所あきらという青年と出会います。
写真のモデルになってほしいという彼。
理帆子は彼に心を開くことで癒されていくのですが。。。

理帆子は美人で頭も良くって、プライドが高いので自分の弱さなどは決して人には見せません。
仲良くしてる友達のことも実は見下しているんです。頭悪い、と。
共感を得られるような女の子じゃないですね。
彼女はものすごく本を読んでいるんですが、大切な感情は本から教わり、
自分が経験する前に本であらかじめ知っていた、とおっしゃるのです!
この部分に関しては、そんなこと思ってた子供だった人がここにも一人いますが(汗)
今思うと、かなり恥ずかしいことでございます。
と、まぁ、苦しんでいる辛いということは伝わってきてもイヤな女の子である理帆子。
思ってるほど賢くないことや危うさにイラつき、前半は心理描写が重く感じました。
しかし、後半はぐっと読み応えが出てきます。
元恋人の壊れていく様子、母のメッセージ、少年・郁也とのエピソード。
どれもよかったですね。
この物語は別所あきらと出会った夏から始まる、理帆子の成長を描く話なのです。
理帆子が嫌な子に書かれているのも辻村さんの計算というわけ。
ミステリ色は薄く、青春小説といった趣きです。
そして、「ドラえもん」へのオマージュになっています。
「ドラえもん」好きにはたまらないでしょう。





深淵のガランス/北森鴻

深淵のガランス

北森鴻さんも新作が出たら必ず読むことにしている作家さんです。
旗師・冬狐堂で骨董を、蓮丈那智フィールドファイルで民俗学をベースに
質の良いミステリを読ませてくれた北森さんが次に選ばれたのは絵画修復の世界です。

彼の仕立てた花には不思議と客を呼び寄せる魔力がある─。
独自の美意識で花と器を一体化させる花師・佐月恭壱。
彼にはもうひとつの顔があります。
絵画修復師。
信頼のおける人物からしか依頼を受けないと決めているこの仕事。
窓口になっているのは、ある女性です。
彼女を通じてもたらされたのは、大正昭和に活躍した長谷川卓司の絵画の修復。
遺族である孫娘からの依頼です。
文句なしの傑作と思えるその絵画の修復を引き受けた佐月はあることに気づきます。
そして、その絵を巡って動きだす者たち。。。

これは、北森さんの新しいシリーズ物になるんだな、と何ページか読んだだけで思いました。
お得意の分野でハズレなし、です。
このシリーズのカラーを強く打ちだそうとされているようで、時代がかった物言いや、
主人公の美学がハードボイルドっぽい感じです。
つい、「かっこつけすぎ~。」とツッコミいれたくなるところもありますがw
シリーズ第1作ということで佐月恭壱に関しては謎が多く、次をお楽しみに!
といわれているようです。
はぁ、次を待ってますけど、他のシリーズもノン・シリーズもお願いしますね、と(^^;)

あくじゃれ瓢六/諸田玲子

あくじゃれ瓢六こんちき

○○○、実は××。
という設定、よくありますね。みんな好きなんでしょう。
例を挙げると“越後の縮緬問屋の隠居、実は先の副将軍”(^.^)
“不良少年、実は財閥の御曹司。”“美女、実は男”とかww
「あくじゃれ瓢六」の主人公、瓢六もそんな設定です。
賭博で捕まった小悪党、実は長崎ではその名を知らぬものはいないという
綺羅屋の息子・六兵衛。唐絵目利きで阿蘭陀語から蘭学、本草学に通じ、
長崎の地役人をつとめていた。当時のエリートですね。
おまけに役者にしたいような色男ときたもんだw
牢屋敷に入れられたものの、瓢六に惚れ込んだ深川芸者のお袖に貢いでもらっている
おかげで、牢内でもけっこう快適に暮しているのです。
そんな瓢六の過去を知った与力・菅野一之助は、瓢六に事件の解決を手助けさせるよう
部下の篠崎弥左衛門に命じます。
この弥左衛門、四角い顔した不器用な男。早くに妻を亡くし、やもめ暮らしをしています。
最初は水と油のような相性だった瓢六と弥左衛門ですが、いくつかの事件を解決するうちに
身分を越えた友情を持つようになるのです。

事件のたびに牢から出してもらっていた瓢六も無罪放免となり、「こんちき」からは
お袖の家に居候、仲間と瓦版を作り始め、弥左衛門のためにお上の用も勤めます。
なかなか魅力的な登場人物たちが楽しませてくれ、事件そのものが小粒でも
良い感じにまとまっています。読後感も良いですね。
なんでもそつなくこなす瓢六と対照的な弥左衛門の恋の行方も気になりますが、
なぜ、瓢六が江戸へ出てきたのか?今のような暮らしをするようになったのは
どんなことがあったせいなのか?という肝心の謎がまだまだ明かされていません。
これからの展開が楽しみです。早く、次がでないかな♪


ルート350/古川日出男

ルート350

たっぷり時間があって、ゆっくり邪魔されずに本が読める日。
紅茶とお菓子なんか用意しちゃって、さて、と本を開く。
冒頭から物語にひきこまれ、ページをめくる音だけの静かな部屋で本の世界に漂う。
一息ついたときにはすっかり紅茶は冷えている。。。
なんてw理想の読書の時間です。
こんなときに読みたいのが古川日出男さん。
「ルート350」は古川さんの8編の短編がおさめられています。
短編なので、1話終われば紅茶も飲めますw
文体も雰囲気も違う、8つの物語。
これを長編で読みたいと思わせるものあり、短編ならではのキレを楽しめるものあり。
満足できる短編集でした。長編も良いけど、短編も上手いのです。
文章やセリフのやり取りに感じられるリズム、そして疾走感。
頭の中で場面を映像化すると、ゾクッとするほど良いところがいっぱいあるんです。
古川さんは舞台の台本を書いたり、演出をやっていたと聞き、なるほどと頷きました。

最後に補記として古川さんが
“ある意味で、僕はデビューから八年間、ずっと同じ小説ばかり書いている。”
と書かれています。
そこに惹かれているのかもしれません。

制服捜査/佐々木譲

制服捜査

北海道警察の不祥事発覚によって明らかにされる内部の腐敗。
それを隠すのではなく、正そうと闘う警察官を描いた佐々木譲氏のうたう警官
評価の高い作品です。
「制服捜査」は同じ北海道警が舞台となった連作短編です。
不祥事発覚後、道警では警察官と地元の癒着を防ぐための対策をたてました。
ひとつの地方・ひとつの部署に長く在籍したものは無条件に異動。
このため、ベテランといわれる捜査員が畑違いの部署へとばされ、様々な弊害がおきています。
主人公・川久保篤巡査部長もそのひとり。
刑事として15年もの経験を積みながら“駐在さん”として単身赴任することになったのです。
赴任先は管内でも犯罪発生率が最低という志茂別町。
しかし、刑事の目をもつ川久保の見たものは。。。

駐在さんというと制服を着た優しげなおじさんのおまわりさん、みたいなイメージです。
そんな駐在さんの人情話、を佐々木氏が書くはずはなく(^.^)
第1話からガツンとやってくれました。良い意味でちょっとビックリ。
制服警官である駐在さんは事故や事件には真っ先に現場へ駆けつけますが
捜査をすることはできないんですね。
川久保も刑事としての経験は求められません。それでも自分なりに事件を追いかけます。
おきる事件は派手なものばかりではないですが、悲しく胸に残るエピソードもあり
とてもよかったです。
これまで何冊か読んだ佐々木氏の本に何か違和感みたいなものを感じていた私ですが
「制服警官」は素直に面白かったです。もっと読みたいと思いました。

子どもたちは夜と遊ぶ/辻村深月

子どもたちは夜と遊ぶ 上子どもたちは夜と遊ぶ 下

辻村深月さんの第2作です。
怖くて痛そうなプロローグで始まりますが、まず描かれるのは登場人物たちの
良い感じの大学生活です。
美人でいつも化粧もネイルアートもばっちり、目立つ存在の姫キャラ・月子。
彼女は孤塚孝太を追いかけてD大へ入学しました。
孤塚は工学部の優等生。留学をかけた論文のコンテストに挑んでいます。
同じコンテストの最優秀候補の浅葱は天才的な頭脳と美貌をあわせもつ男。
孤塚と共同で部屋を借りている恭司は面白おかしくすごす毎日を送っています。
二人のうちのどちらかが選ばれるだろうと思われたコンテストは意外なかたちで
幕を閉じ、それをきっかけに連続殺人がはじまるのです。

ありがちなキャラクターと思わせて、進むにつれ、その内面と登場人物の関係に
引き込まれるように読んでしまいます。それが辻村さんの持ち味なんでしょう。
繊細で痛々しい。それでいて残酷。
ミステリで恋愛小説でもあるんですが、どうしようもないところまで追い込まれていく
殺人者の心がたまらないですね。
これは前作でも感じたのですが、丁寧に書かれているからこそ、読んでいて不審に
思ったことが後半サプライズとして出てきても、あまり驚けなかったりするのが残念。
でも、面白かったですよ!最後まで気持ちがそれませんでした。
あと2冊、辻村さんには未読のものがあるので楽しみです。

チョコレートビースト/加藤実秋

チョコレートビースト

東京創元社のミステリフロンティアというシリーズがあります。
次世代を担う新鋭のためのレーベルだそうで、名前をはじめて聞く作家さんが多いです。
伊坂幸太郎さんが第1回の配本だったこともあって、このシリーズには注目していて
おもしろそうかなーと思った作家さんは読むようにしています。
加藤実秋さん、インディゴの夜もミステリフロンティア。
「チョコレートビースト」はその続編になります。

フリーライターの高原晶がつぶやいた一言。
「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれる
ホストクラブがあればいいのに。」
それを聞いた某大手出版社の編集者・塩谷が乗り気になり、二人で出資して
渋谷のはずれに一風変わったホストクラブ“Club Indigo”を開店させることに。
店は大当たり。しかし、何かとトラブルが持ち込まれ、晶は塩谷やホストたちと一緒に
探偵まがいのことをやるはめになるのです。

ホスト。好きじゃありません。
若いかっこいい男の子より、可愛い女の子とか意地を通すために命かけちゃうオヤジが好きです。
ま、それは好みの問題で(^^;)
ドラマにしたら、ウケそうじゃない?と思いました。
若手の俳優さんとかジャニーズの子をたくさん使って作ったら~、と読んだ人は
思うでしょう。自分でキャスティングするのも楽しいかも。
小説としても、肩がこらずに読めます。あとに残らない軽い読み物といった感じ。
ミステリ、としては普通です。
語り手でもある晶は気の強い三十女、昭和臭いなんていわれてます。
加藤さんと私とは世代が近いせいか、晶のノリやツッコミに親近感を覚えたりしました。
お菓子食べながらテレビを見るような感覚で読める本でした。





陰陽師・瀧夜叉姫/夢枕獏

陰陽師 滝夜叉姫・上陰陽師 滝夜叉姫・下

夢枕獏さんの人気シリーズ、陰陽師です。
ブームが起きるほどの人気でマンガや映画にもなりましたね。
ほとんどが短編のこのシリーズですが、「瀧夜叉姫」は上下2冊の長編です。
嬉しいですね~。
短編も良いですが、この登場人物たちで長いお話を読みたいと思っていた人は多いはず。

平安の京の都で不可解な出来事が起きています。
何も盗らずに去る盗人、貴人の顔にできた腫れ物、腹を裂かれて殺される妊婦。。。
まったく関連がないと思えるこの出来事の影に、恐ろしいものの存在を感じる安倍晴明。
源博雅とともに事件に関わっていくうちに、あきらかになるその存在と意思。
これは今始まった事ではないのです。
20年前から計画されていたこと。復活の日を迎え、新帝となるために。
晴明はそれを防ぐことができるのでしょうか?

読み応えがあり、このシリーズで一番面白かったです。
あまりネタばれにならないようにあらすじはちょっとだけ(^.^)
最初のページに目をおとしてすぐ、平安の、夜が闇の世界に入り込めました。
独特の詩的な文章に文字ならではの雰囲気たっぷりの擬音、ぐっと気持ちをつかまれます。
私は今回の登場人物では俵藤太がお気に入りでした。
大蛇が砥いだ刀、黄金丸をもつ強くて豪快、純情なお方です。
もちろん、晴明と博雅のコンビも大好きです。今回も二人の会話を楽しませてもらいました。
博雅には晴明だけじゃなく、私も癒されます~。

このシリーズでこういうのが読みたかったのよ!と大満足でございました。



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