のばらのアリア

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うそうそ/畠中恵

うそうそ

畠中恵さんの人気シリーズも最初のしゃばけから数えて5冊目になりました。
大店の若だんな・一太郎は妖かしの血を引く者。しかし、とんでもなく病弱なので
両親からは甘やかされ、実は妖かしである二人の兄やに守られて、大事に
過保護にw育てられています。
いつもは町内でおこる出来事に若だんなが関わっていく、というお話なんですが
今回は違います。なんと、若だんながご旅行なんです!

近頃頻繁に起こる地震。ただでさえ身体の弱い若だんなの調子は悪くなる一方。
その上に地震で怪我までしてしまいます。
そこで「お江戸中を砂糖漬けにするほど」甘いといわれる若だんなの両親は、
若だんなを箱根へ湯治にやることに決めたのです。
今まで、江戸の町すらろくに歩いた事のない若だんなは大喜び!
お供には兄やの佐助と仁吉。そして腹違いの兄である松の助です。
はじめての旅に心躍らせる若だんなですが、舟に乗ったと思ったら、そばから
離れる事のないはずの兄やたちの姿がどこにもありません。
不安な気持ちを抱え、松の助と湯治場へ向かう若だんなですが。。。

久々の長編でしかも若だんなが旅に!読む前からこれは面白そうだな、と。
はじめから何か起こりそうな雰囲気がありありですw
消えた兄やたちはどこへ行ったのか?次々と若だんなにふりかかる苦難(?)
病弱な若だんなもがんばってます。大丈夫なのか?と読んでて思うくらいw
いつものキャラに加え、新キャラもなかなか良い感じ。旅先ということも
あって、いつもと違うのが新鮮ですね。
疲れているときでも、読んでるうちにほのぼのとしてリラックスした気分になる
このシリーズ。今回もけっこう派手な展開なのに、なぜかほのぼの~。

仁吉ファンの私ですが、今回は若だんなのお部屋のレギュラーキャラ、
屏風のぞきさんが出てこないのがちょっと淋しかったりしました。
そして、湯治にいったのに一度も温泉に入ってない若だんなが気の毒で(^^;)

溺れる人魚/島田荘司

島田荘司さん、今年はすごいですねー。
たくさん本が出ます(^.^)嬉しいな♪

溺れる人魚

天才水泳選手として国民のアイドルだったアディーノ。
しかし、エキセントリックな行動をとるようになり問題を次々と起こした末に
当時は画期的な治療法とされた手術を受け、廃人同様になってしまいます。
コーチであった夫と娘の介護を受けて暮す彼女はある日、拳銃で自殺します。
そして、その同時刻に手術をした医師が拳銃で撃ち殺されるという事件が。
その拳銃は遠く離れたアディーノの自殺に使われたものと同じだったのです

一応、御手洗シリーズのようですが、表題作にはちょっこと名前が出てくるだけ。
キヨシ、として出てきて、活躍はー、ないです(^^;)
短編が4編収められている中、石岡くんがでてくるのは最後の1篇だけで、
あとはハインリッヒさんが語り手です。
御手洗シリーズの番外編くらいに思って読むのがいいみたいです。
ミステリ度は高くないですが、内容は軽くはないですよ。
4編の共通のテーマは“女性の悲劇”でしょうか。
理解されない病気に、戦争中おこなわれた愚行に、一人の男性のために。
フィクションだけど、実際にあってもおかしくないようなお話でした。

廃人同様になったアディーノが唯一機嫌がよくなるのは、夫との新婚旅行で見た
オペラ「愛の妙薬」の中のアリア、「人知れぬ涙」を聴いているときだけでした。
この美しいアリアは私も大好きな曲なんです。
この本を読まれる方にはぜひ、聞いてみて欲しいです~。

希以子/諸田玲子

希以子

口入屋の父と髪結いの母の間に生まれた希以子。
ろくに仕事もせずに酒ばかり飲んでいる父に愛想をつかした母は近所の職人と
駆け落ちしてしまいます。姉と二人、父のもとに残される希以子ですが、
乳の出が悪かった母に代わってお乳をくれた隣のおばさんがもうひとりの
お母ちゃん。そして、おばさんの娘で美貌の美佐緒がもうひとりのお姉ちゃんです。
苦労の中、お人よしで明るい少女に育った希以子にも初恋が訪れます。
それは、芸者になった美佐緒を後妻としてむかえたお金持ちの社長の一人息子。
ふたりで満州へいこうと約束しますが、美佐緒の激しい反対で引き裂かれます。
諦めて、人生の波に流される希以子。
それでも必死で生きる希以子の前に、あの人が再び現れ-。

諸田玲子さんの現代物?と思って読み始めました。
明治・大正・昭和を生き抜く女の半生記。
うーーーん。正直、しまった!と思いました。私が苦手とするジャンルです。
小説にもドラマにもよくありますが、主人公にこれでもか!ってくらい試練が
ふりかかるのが、読んでて辛くなるときがあるからです。
特に日本のものは主人公が辛い目にあっても耐えて耐えて、っていうのが
たまらない。昔はそうだったといわれればそうなんでしょうが。
しかしまぁ、そういう小説にかぎって力のある作家さんが書かれていて
読み始めると止まらないものなんですねえ。
「希以子」もそうでした。どうなるのか、先が気になって気になってw
まっすぐに懸命に生きている希以子の廻りにはロクな男が巡ってこず、かなり
男運が悪い(^^;)そして、スパイスというには強烈すぎる美佐緒の存在も
こういうお話にはなくてはならないものかと思っても、腹が立ってきます。
幸せだった、とはいえない希以子の半生。
でも、必死で生きてきたことが最後には充実感と安らぎに変わるのかな。

装画は日本画家の小倉由亀さん。「童女」という絵だそうです。
いいですね。本物見てみたいです。

押入れのちよ/荻原浩

押入れのちよ

「明日の記憶」で山本周五郎賞を受賞、映画化も話題になった荻原浩さん。
私は荻原さんの作品は初期のコメディタッチのものとを読みました。
「噂」は図書館でなんとなく借りたのですが、なんの前知識もなく読めて幸せでしたー。
肝心のヒット作は読んでないわけですが(^^;)今回は初めて読む荻原さんの短編集です。
表紙を見ておわかりかと思いますが、ちょっと怖いお話の9編。
といっても、あからさまな幽霊話よりも人間の怖い面がでてる話のほうが
よっぽど怖かったりします。イヤーな感じ。
コミカルなものもかなりブラック。
かと思うと、優しい気持ちにさせてくれる幽霊さんとかも出てきたり。
“怖い話”をいろんなかたちで読ませてくれるのです。
そんな中でも表題作の「押入れのちよ」良い感じでした。

リストラされて無職の恵太は不動産屋に格安の物件を紹介されます。
築35年お風呂付きの1DK、ユーティリティもついていて家賃はなんと3万3千円!
失業保険がきれてしまう恵太は何も考えずにこの物件に飛びつきますが、
その夜、部屋におかっぱ頭の少女がいるのを発見します。
それがちよ。明治生まれの14歳の少女の幽霊なのでした。
市松人形のようなこの幽霊はビーフジャーキーやおにぎりを食べ、カルピスを飲み、
夢中でテレビを見る。話を聞くと辛い生い立ちに育ったようなのですが、
素直で礼儀正しい良い子です。
はじめこそ悲鳴をあげた恵太ですが、すんなりとちよとの同居を楽しむように。

可愛いんですよ、ちよが。
恵太もちょっとぬけてますが、良いヤツです。
二人の暮らしが続くのもいいかも、なんて思ってしまいました。

弥勒の月/あさのあつこ

弥勒の月

あさのあつこさんといえば「バッテリー」ですが、私は未読です。
どういうものを書かれるのか興味はありましたので、今回は「バッテリー」ではなく
あさのさん初の時代小説「弥勒の月」を読んでみました。

本所相生町に流れ着いた女の溺死体。
女は小間物問屋・遠野屋の若おかみ、おりんだった。
目撃者もおり、身投げと処理しようとした同心・木暮信次郎は、再度の探索を願う
女の夫、清之介に商人とは思えないただならぬものを感じ取る。
岡っ引きの伊佐治とともに清之介を探り始める信次郎。
浮かび上がる清之介の過去には深い闇が。。。

不審な死をとげた女の謎を追う同心、とくれば捕物帖。
悪い癖でそう思い込み読み始めましたが、違ってました。
頭が切れてエキセントリックな信次郎と冷静でそつのない商人に見える清之介は
似たもの同士。こころに闇を抱える男たちなんですねー。
うん、お話としてはよくあるものですね。
人にいえない過去を持つ男とそれを追う男、そして過去からの刺客、みたいな。
国や時代がどこでも使える普遍的なお話です。マンガや小説によくあるでしょう?
こういうお話の場合、どれくらい登場人物の魅力を感じられるか、内面の描写や
細部の書き込みが、面白いかどうかの判断になると思われます。
この作品は普通、ですかね。悪くはないですが、すっごく良かったとは?
大事な脇役も伊佐治は大成功ですが、おりんはねえ。
清之介に「弥勒」とまでいわせるものを何一つ感じられませんでした。残念。
なんとなく続編アリか?とおもわせる最後でした。アリなら読んでみましょうか。

ふと思いましたが、ラノベ好き、BL好きの方にこの作品はツボがあるかも?

陽気なギャングの日常と襲撃/伊坂幸太郎

陽気なギャングの日常と襲撃

前作は映画化されました陽気なギャングが地球を回す
伊坂さんが小説の続編を書くのはこれがはじめてですね。
待っていた人も多いのではないでしょうか。
私はといえば、前作を読んだのが何年か前なので忘れてるところがあって
最初の方は色々と思い出しながら読んでました(^^;)

人間嘘発見器・成瀬、演説の達人・饗野、正確無比な体内時計の持ち主・雪子、
天才スリの久遠、この4人は史上最強の銀行強盗なのです。
しかし、年中銀行を襲ってばかりはいられませんし、それぞれに本業というものを
持っています。公務員だったり、喫茶店経営だったり。
この作品では、本業に就いてる日常でそれぞれが事件に巻きこまれるのが始まり。
無関係かと思われた事件がどういうわけか絡み始め、4人は人助けのために
動き出すことになるのです。

4人がそれぞれ巻き込まれる事件は当初短編として発表されたもの。
それを長編の第1章に組み込むために大幅に変更したそうです。
短編でも面白かったかもしれませんが、それをきっかけに~という長編の方が
伊坂さんの良さを味わえると思います。
お得意の伏線をはりめぐらし、後半でうまく活かしてくるのが読んでいて
気持ちいいです。こうきたか、ってw
そして言葉を選ぶセンスの良さを感じさせるテンポのいい会話。
楽しめます。
後半、ちょっと枚数たりなかったのかしら?って感じで書き込み不足に
思えるところもありますが。
暑さをしばし忘れさせてくれる本でした。

骸の爪/道尾秀介

骸の爪

「背の眼」に続く、道尾と真備のシリーズ第2弾です。
従兄の結婚式に出席したホラー作家・道尾はホテルの予約ミスにより、
瑞祥房という仏所に宿を借りる事になります。
松月という女性とみまごう仏師のもと、4人の弟子が仏像作りに励むその場所では
過去に弟子の一人が行方不明になっていました。
素晴らしい腕前だったというその弟子、道尾は彼の作った千手観音に興味をもちます。
その夜、カメラを工房に忘れてきたことに気づき、取りにもどった道尾は
不気味な声を聞き、昼間見た千手観音が笑っているのを見てしまいます。
そして、カメラに残された写真には血を流す仏像が・・・。

前作はホラー&ミステリでしたが、今回は設定などにホラー風味をきかせた
本格ミステリですね。こういう感じは好きです。
前作に比べて、随分すっきりして、よくなっていると思いました。
といって、手放しで褒められるわけではないのですが。
耳にする評価の高さを確信することは出来ないですね。んーーー。
可能性、といったことは感じました。
?マークをつけて、あと少しお付き合いしてみようかなと思います。
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