のばらのアリア

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ボトルネック/米沢穂信

一昨日、ブログを書いてアップしようとしたら、突然ぜーんぶ消えちゃいました。
・・・たまにありますよね、そういうこと。
怒りと悲しみですぐに書き直す気になれませんでした。
今日は気を取り直して!
ボトルネック
嵯峨野リョウは2年前に事故死した恋人・ノゾミを弔うために東尋坊へやってきた。
彼女が死んだ場所に花を手向けたとき、強い眩暈に襲われるリョウ。
そのまま、崖下へ落ちて。。。
しかし、目をさますとリョウは金沢市内の川辺のベンチにいた。
東尋坊にいたはずなのに?崖から落ちたと思ったのに?
不可解な思いで自宅へ戻ると、そこには「姉」がいた。
リョウは両親と兄、自分の4人家族。姉など存在しない!
弟などいないという彼女と話すうちに、リョウは気づく。
ここは「僕の産まれなかった世界」なのだと。

パラレルワールドを舞台にした青春小説、と思って読み始めました。
それはそうなんですが、あまりにもハードな内容です。
イタい。キツい。
米澤穂信さん、今までのものと全然違ってました。一癖あると思っていましたが
良い意味でざっくり裏切られたという感じです。
読み始めると引き込まれて一気に読んでしまいました。読みながら、主人公の
心情を思って辛くはなるのですが、小説として面白いんですね。
そして読み終わって、ずーんとくる。
最後のページで考え込んで、なかなか本が閉じられませんでした。
自分に起こったとしたら?
目覚めると、自分が産まれなかった世界にいる。
産まれてこなかったはずの兄弟がそこにはいる。
自分の世界では不幸な結果だったことがこの世界では違う結果がでている。
それには自分より魅力的な兄弟の存在が大きく作用している。
うーん。私が産まれなかった世界。見られないですけど、見なくて良いような。
でも、その場にいたら、きっとあれこれ探って色々見てまわるかな(^^;)
もし、私がいない世界で家族や友人たちが不幸な結果を逃れ、幸せに暮して
いたとしたら、自分の気持ちとしては複雑でも「よかったな。」と思えるのでは。
良い子ぶるわけじゃないですが、そう思います。
そして、やっぱり自分はいなくていい存在なんだって静かに認識して。。。


お、一昨日書いたのと全然違う感じになったわ。ほほほ。





安吾のいる風景/坂口綱男

坂口安吾をはじめて読んだのは高校生のときでした。
「堕落論」ですね。よくわかってなかったと思いますが、それなりに受けたものは
ありました。夢中になって読み始めたのは「夜長姫と耳男」から。
それ以来、私の大好きな作家のひとりである坂口安吾。
今年は生誕100年の年にあたるそうです。
安吾のいる風景
この本は安吾の息子さんで写真家の坂口綱男さんが、安吾のゆかりの地や物を
撮影され、それぞれの写真に文章を添えたものです。
書くことは本業ではない方ですが、安吾と三千代と四十の豚児とという著作もあり、
人柄がしのばれ、なんとなく面白みがある文章です。
写真も貴重なものがたくさん。
私が印象に残ったのは、「鉛筆の時間」と題されたもの。
安吾が三千代夫人と新婚時代をすごした蒲田・矢口の渡しにある家が、
取り壊されることになったと聞き、綱男氏と三千代夫人がそこを訪れます。
家の中を見て、残る思い出に感無量になられた三千代夫人を綱男氏が撮影した
一枚。息子さんでなければ撮れない写真だと思いました。
作家が亡くなったあと、遺族が作家を偲んで本を出すのはよくあることですが、
森鴎外を書いた森茉莉と並んで好きなのが、三千代夫人の書かれたクラクラ日記です。
三千代夫人のファンでもあるんです~(^.^)
私にとって、嬉しい1冊でした。

安吾の名作「桜の森の満開の下」も収録されています。

少し変わった子あります/森博嗣

少し変わった子あります
大学教授の小山が後輩・荒木に教えてもらったのは風変わりな料理屋。
決まった場所に店を持たず、予約の度に違う場所で店を開くという。
そして、毎回店から選ばれたひとりの女性と一緒に食事をすることができるのだ。
その女性が何をしてくれるわけでもない。ただ一緒に食事をするだけ。
毎回変わる女性はいくら気に入っても、そのときだけ、一度だけしか会えない。
興味は覚えたが、すぐには行こうと思わなかった小山。
1年以上たってからその店に予約をいれたのは、留学から帰った荒木が突然、
行方不明になってしまったからだった。。。

最初の方を読んで、名手が書くスパイスの効いた短編のようだ、と思いました。
そんなふうにまとめる事もできる題材です。
連作短編にすることでじっくり深い味わいを出したって感じでしょうか。
毎回変わる店の場所と女性が小山から引き出す、思わぬ心の動きやイメージ。
料理屋での話なのに、出された料理のことはあまり書かれていません。
ラストの予想は早くからつくというのに、読み終えてすぐに前の章に戻って
読み返してしまいました(^^;)
ミステリアスなまま、余韻を残して終わる物語でした。好きな感じです。

禿鷹狩り

禿鷹狩り

警視庁神宮署生活安全課の刑事、禿富鷹秋は悪徳警官のお手本のような人w
これまでもヤクザや南米マフィアを相手にエグい戦いを繰り広げてきましたが、
シリーズ最終作というこの作品では身内、警察内部からの刺客がやってきます。
冒頭に禿鷹を消す依頼をする男とそれを受ける人物。二人は誰なのか、謎という
ちょっと古臭い始まり方をします。それだけに、これは何かあるなと深読みw
さて、簡単に消される男じゃないけど、どういうことになるのかな~。

シリーズ化されたのは嬉しいけど、やはり第1作にインパクトがあっただけに
あまり長く続かない方がいいかも?と思っていた作品です。
きっぱり終わりにしてくれましたね。禿富鷹秋にふさわしい終わり方でした。
今回もヤクザがかわいそうになっちゃうほどの非道ぶりです。
シリーズレギュラーのヤクザ、水間と野田の
「ダンナには何かしてもらうために金を払ってるんじゃない。
何もしないでいてもらうために金を払ってるんだ。」
なんて会話に思わず笑ってしまいます。
そう、あんまり好き放題に無茶するので、気持ち良いくらいです(^^;)
そして、警察からの刺客。これまた強烈なお人でした。
石動寿満子。女版禿鷹?みたいな人です。禿鷹には禿鷹を、ってことですかね。
この人がけっこう物語を引っ張ってくれますが、コンビを組む嵯峨刑事や
禿鷹のパートナーである御子柴なども一癖あって面白かったです。
以前、ちょっと書いたんですが、この作品では主人公・禿鷹の内面描写は
一切ありません。それがとても効果的なんですよね。
続編はない!ときっぱり終わり。それも禿鷹らしくていいです。


なんか、警察小説がつづいてるな~。

駐在刑事/笹本稜平

この本を読んでいたら、母が「その本、この前読んだよね?続きでたの?」
母よ、それは制服捜査ですね。作者が違うよ(^^;)
刑事がある事情で駐在さんになるってところは同じだけど。
駐在刑事
警視庁捜査一課の刑事・江波は取り調べ中の容疑者に自殺されてしまいます。
ひとり責任を負わされ、左遷。奥多摩の駐在所へ飛ばされるのです。
そして、1年。自然に恵まれた環境の中、山登りの楽しさを覚え、住民からも
町の駐在として認められるようになりました。
しかし、そんなのどかなところにも事件は起きるのです。

笹本さんがこういう小説を書かれるとは意外でした。
出された単行本は全部読んでいると思いますが、こういったものははじめて。
笹本稜平といえば、山に海に極地に繰り広げられる冒険小説!
この本を手に取ったときも、駐在さんが国際的な陰謀に巻き込まれるのか?
なんて思っちゃいました。違いましたけど~(^o^)
これまでの作品より読みやすく、一般のひとにも受け入れられやすいのでは
ないかと思います。
私は全部読んでいる~といいつつ、笹本さんの作品がすきか?と聞かれると、
?なんですね。主人公やヒロインに共感が待てなかったり、話にひっかかりを
覚えたりするので。それでも読み続けているのは、もう一皮!と思っているから
なんでしょう。
今回はまったく違うタイプの作品だったせいか、そういったことはあまり
感じませんでした。連作短編ですので、いろんな味が楽しめます。
山が好きな方にはオススメかな。
そう、2時間ドラマのシリーズ物の原作にぴったりかもしれません。
条件が揃っているように思います。悪い意味ではないですよ。
人気がでるんじゃないかな。

灰色のピーターパン/石田衣良

灰色のピーターパン

果物屋の店番にして池袋のトラブルシューター・マコトが活躍するIWGPシリーズ、
もう6冊目になるんですね。
しかし、このIWGPシリーズという呼び名、他のものを思い浮かべてしまって
私はなじめません(^^;)自分も!というあなたは○○○○ファンですねw
さて、今回もマコトのもとには様々なトラブルが持ち込まれます。
いつもの仲間の手を借りながら、鮮やかに気持ちよく解決!というお話が4篇。
マンネリ化してきたという声も多々あるようですねー。
シリーズはある意味、マンネリ化を楽しむものでもあると思いますので、
それについては別にかまわない私です。つまらなくなったら読まないですけど。
それよりも今回はどんな事件がやってくるのか?ってことですね。
このシリーズは社会的な問題を取り上げることが多く、今の時代を切り取った
エピソードが魅力でもあります。
それをマコトは(石田衣良は)どう思い、どういった解決を見出すのか。
今回は~、そうですね。それなりに面白かったってとこでしょうか。
石田さんは上手い作家さんですから。
キレの良さを感じたり、ぐっと入り込めるものは残念ながらありませんでしたが
「野獣とリユニオン」はなかなか素敵なお話でした。
まだまだ次が楽しみなシリーズです。
そうだ、久しぶりにシリーズ外伝も読んでみたいですね。
良いキャラ揃ってますから(^.^)

・・・池袋乙女ロードってどんなところなのかなぁ。



白夜街道/今野敏

白夜街道

元KGBの暗殺者だったヴィクトル・タケオビッチ・オキタ。
現在はKGBの特殊部隊の仲間が興した警備会社でボディガードになっています。
貿易商・ペデルスキーの警護のため日本を訪れたヴィクトル。
そして、ヴィクトルの来日を知った警視庁公安部・倉島警部補はひそかに
ヴィクトルを探り始めるのですが、何事もなく二人は帰国します。
ところが、その後、ペデルスキーが会っていた外務省の河中という人物が変死。
ヴィクトルとペデルスキーを追って、倉島はロシアへ。。。

これは曙光の街の続編にあたります。
前作を読んだ方が面白く読めると思います(^^;)
今野敏さんはいろんなジャンルの小説をお書きですが、私が好きなのは
警察小説とエンタテインメントです。
どの作品も主人公が基本、良い人なんですね。それに悲惨なラストがない。
そのせいか、安心して読めるんですよねー。途中でハラハラする展開でも
今野敏がひどい最後にするはずがない!という信頼を持って読んでいます。
そういう作家さんもいてくれなくては、ね。
今野さんは空手道今野塾を主宰され、ロシアにも支部をお持ちだそうです。
それでロシアの国内事情に詳しいんですね。町の様子や暮らしぶりなんかも
きっと見てこられたものが反映されているんでしょう。
今回、ヴィクトルがちょっとぬるくなったな、と感じながら読んでましたが、
作者の意図で、後半、盛りかえしてくれました。
前作でその後が気になったエレーナも元気で登場します。

これ読むと、ヨーグルト食べたくなります(^.^)



銃とチョコレート/乙一

“かつて子どもだったあなたと少年少女のためのミステリーランド”
ミステリ好きにはたまらない豪華執筆陣が書き下ろし!というこのシリーズ。
お気に入りの作家さんが書かれたものだけ読んでいます。
今のところ、ハズレなし。
今日はこちら、またチョコレートですw

銃とチョコレート

少年リンツの住む国で、富豪を狙って貴重な宝物を盗むという事件が頻発します。
それは怪盗ゴディバのしわざ。
盗んだ邸宅に“GODIVA”と書かれた赤いカードを残していくのです。
ゴディバを捕らえようと事件を追う名探偵ロイズは国中のヒーロー。
もちろん、リンツも彼に憧れています。
そんなある日、リンツは亡くなった父が買ってくれた聖書の中に地図がはさんで
あるのを発見します。もしかしたら、これは怪盗ゴディバの宝の隠し場所?
リンツは名探偵ロイズに地図を見てもらおうと、手紙を書きます。。。

この方、弱冠17歳でデビューされています。
デビュー作を読んで、この人はこれからも読まないと!と思いました。
ライトノベルの方で主に活躍されていたので、その間の作品はあまり読んで
ないのですが、ここ数年は新刊を楽しみにしている作家さんのひとりです。
乙一さんには胸にせまる切ない話系と残酷で怖い話系の二通りがあり、
白乙一、黒乙一、なんて言われているそうです。
簡単に分けられるものではないと思いながらも、今回はどちらかな?とw
貧乏な移民の子で父を亡くしたばかりのリンツ、憧れの探偵と一緒に怪盗を
追うお話か~、白かな。ハンカチいるかな?
と、思いきや、途中から怒涛の展開でビックリ!こうくるとは思わなかった。
内容には触れませんが、すごいすごい、さすが乙一(^^;)激しいわ。
あらすじを読んで想像するようなお話じゃなかったですね。
でも、リンツの冒険と成長を描き、生きる事の様々な面を教えてくれる話です。
登場人物の名前がチョコレートのブランドになっているお遊びもアリ。
私に子どもがいたら、高学年になったら読んで欲しいと思うでしょう。
面白く楽しい本もいいですが、衝撃を受けた本って忘れませんし、あとから
色々と考えるでしょう?同じミステリーランドでも、神様ゲームはちょっとマズイかも
とか思いましたが。

箱入りで装丁や挿絵がいつも素敵なこのミステリーランド。
今回も平田秀一さんの絵が怖くていいです。
遊びにきていた姪と甥が、「この本なに?怖いの?」と興味しんしんでした。
子どもって怖い本好きですよね。でも、自分で読めるようになってからね!

チョコレートコスモス/恩田陸

チョコレートコスモス

困ったなー。
いつも簡単な粗筋を紹介しているのですが、今回は気が乗りません。
なんでって、すごく面白かったから!
私の日記を読んでくださってる方の中で、これから「チョコレートコスモス」を
読もうと思ってる人がいたら、前知識なしで読んで欲しいと思ったのです。
話の筋がわかったからといって、つまらなくなるような作品ではないですよ。
私の中で恩田陸さんの作品ベスト1に躍り出ました。面白いっ!
上質のエンタテインメントです。
真っ白な状態で読むほうが幸せじゃないですか?

ちょっとは知りたいな、って方はこちらへ~。
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